NVLAPのロゴ付校正証明書の有効性は・・・
 ここでは、弊社が発行しますUS NIST/NVLAPロゴ付校正証明書の有効性についてご説明します。


 校正証明書の効力を論ずるには、認定機関(Accreditation Body)の相互承認協定(Mutual Recognition Arrangement)の制度をご説明する必要があります。

 そもそも、試験所や校正機関の認定は、各国独自の制度下で行っていましたが、製品のグローバル化に伴い、試験結果や校正結果をお互いに認め合おうという考えに至り、その運営基準としてISO/IEC Guide 25が発行されました。現在のISO/IEC 17025の前身です。各国の試験所や校正機関はこの基準に基づいて運営すれば、等価な品質が得られるという考えです。

 ただ、試験所や校正機関の自主運営では客観性に欠ける為、これらを審査し評価する機関が必要となり、認定機関と呼ばれる組織が創設されました。認定機関はその役割から、当然、中立性を保った非営利組織でなければなりません。原則的には国の組織、あるいはそれに準ずる組織がこれを担っています。また、運営はISO/IEC Guide 58に従わなければなりません。この基準は現在ではISO/IEC 17011に差し替えられています。

 認定機関(Accreditation Body)は、製品認証機関(Certification Body)とは異なることに注意して下さい。この点を誤解している方が結構いらっしゃいます。製品認証機関は基本的に営利組織です。例えば、ドイツのTUV、米国のUL、英国のSGSなどは製品認証機関であって、認定機関ではありません。

 認定機関は一国一機関というところもあれば、複数の機関が存在する場合もあります。認定機関は、国の所轄官庁が指定あるいは審査を行って承認します。主な国の認定機関の例を以下にあげておきます。(主に電気分野から見た場合の例です。)

国名 認定機関
日本 IA-Japan, JAB, VLAC, JLA
米国 NVLAP, A2LA, ANAB
ドイツ DAkkS
英国 UKAS
豪州 NATA
台湾 TAF
韓国 KOLAS
中国 CNAS

 認定機関の運営する認定プログラムが国際基準に適合しているか否かは、一般に国際的な相互承認協定(Mutual recognition Arrangement)という形で証明されます。審査は相互間で行う場合もあれば、別の機構が行う場合もあります。認定機関が相互の同等性を認め合う相互承認協定を締結すれば、相手国の認定機関が認定した試験所あるいは校正機関の発行する試験・校正結果の信頼性は高いといえます。

 認定機関の相互承認協定は、国家間に存在する貿易障壁を直ちに解決するものではありませんが、受入側においての大きな判断基準を与えるものです。

 試験所および校正機関の国際的な組織として、国際試験所認定機構(ILAC)があります。また、アジア太平洋地域の同組織としてアジア太平洋試験所認定協力機構(APLAC)があります。

 ILAC: International Laboratory Accreditation Cooperation
  APLAC: Asia Pacific Laboratory Accreditation Cooperation

 弊社が校正分野の認定を取得していますNIST-NVLAPも、このILACおよびAPLACに加盟しています。従って、弊社が発行しますNIST-NVLAPのロゴ付校正証明書は、加盟している他の認定機関に受け入れられます。具体的には、例えばA2LAの試験所認定を取得している試験所様が、認定機関(この場合はA2LA)の定期審査を受ける際、弊社発行のNVLAPロゴ付校正証明書は有効に機能します。ご自身でトレーサビリティを証明する必要はありません。認定機関のロゴ付校正証明書はそれを証明する証(あかし)であるからです。

 以上、国際相互承認協定を含む試験所認定制度の概要をご説明しましたが、最後に、現在の認定制度とて必ずしも完全ではないことに言及せねばなりません。私共も、米国NISTより校正機関としての厳しい審査を定期的に受けている訳ですが、それはあくまで限られた時間内でのサンプリング審査という形態です。また、審査はISO/IEC 17025に基づいて行われますので、もちろん、校正遂行能力の有無は審査されますが、職員の持つすべての能力(Ability)が審査される訳ではありません。即ち、認定取得=優秀な組織ということが直ちに成立する訳ではありません。認定取得は、自らが行っている行為の正当性、適格性を客観的に立証する一手段に過ぎません。

 私共の活動も最終的にはすべて自己責任の世界です。より重要なことは、信頼性の高いハイクオリティな結果を如何に継続してご提供できるかということであり、これを実現する為には、豊富な経験、相応の知識および洞察力が必要になります。日々行っている物事のエッセンスを忘れることなく、引き続き信頼性の高い校正サービスのご提供に努めていきたいと考えています。
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