IPSの最上位周波数標準のご紹介

GPS制御型ルビジウム周波数基準器の導入により、<1x10-12/24時間平均という
高い精度の周波数校正を実現!
 弊社では最上位の周波数標準として、GPS制御型ルビジウム内蔵周波数基準器を使用しています。この基準器の最大の利点は、高精度の周波数基準信号が常に得られることです。現在、24ヶのGPS衛星が地球上高度20,000kmの軌道を周回しています。(イメージは下図の通り) この衛星群は、4個ずつ、6つのグループに分かれ、それぞれのグループが地球を取り巻く円軌道で飛んでいますので、地球上のどの位置から見ても常に均等な数の衛星が視野に入ります。(仰角90°で6ヶ、仰角120°で8ヶの衛星が視野に入ります。) また、これらGPS衛星には、5x10-13 per 24hの高い精度のセシウム周波数標準が搭載されています。この周波数標準はU.S. Naval Observatory (USNO)にトレースしており、最終的にはUS NIST(米国国家標準技術局)の周波数標準にトレースしています。
 関連ウェブサイト:USNO Time Service Department
24基のGPS衛星イメージ図
弊社周波数基準器
Example of display
(frequency offset 0.2x10-12)
 弊社の使用しているGPS制御型周波数基準器は、GPS衛星から受信した信号を使って安定した1pps信号を生成します。この信号と内蔵のルビジウム発振器からの信号との位相差を常に比較します。この動作は時間間隔誤差(Time Interval Error)と呼ばれています。比較された校正結果は30秒おきに内蔵メモリにストアされます。これら一連の動作が意味するところは、内蔵のローカル(ルビジウム)発振器は常に(30秒おきに)校正されているということです。従って、GPS衛星を捕獲して、一連の動作が行われている限り、基準器が出力する10MHz標準信号の外部校正機関等での校正は不要です。但し、弊社では、より信頼性を高める為、US NISTにトレーサブルな周波数カウンタや、予備のGPSレシーバからの標準信号等を用いて、定期的に比較校正を実施し、その適正を検証しています。

 位相校正データの補正動作に基づき、周波数オフセット値を計算し、その結果を24時間の平均値としてフロントパネルに表示しますので、常に適正動作の目視確認も可能です。

 前述のTime Interval Error (TIE)の動作をもう少し詳しく説明します。GPS受信部が生成する高精度な1pps信号と、内蔵発振器の位相差を比較する訳ですが、この位相差は2つの信号のゼロクロス間の時間間隔として測定されます。仮に、規定値からの周波数オフセットが存在する場合、TIE値は増加あるいは減少されます。例えば、時間0秒におけるTIE値(1)が+5nsで、それから10,000秒後のTIE値(2)が-15nsだったとした場合、周波数における差は次のように計算されます。 
 30秒間毎のTIE値の測定例と、TIE値を基にして求めた24時間平均での相対周波数オフセット値(実質的な精度)の推移例を文末の図に示します。このような動作が常に行われることで、GPS制御型周波数基準器は高い精度の周波数標準の出力を維持しています。

 なお、GPS機能がロックオフ状態、即ち、内蔵のルビジウム発振器で動作した状態での本周波数基準器は、国立研究開発法人 情報通信研究機構が保有する日本の周波数標準に直接トレースしています。
■弊社GPS制御型周波数基準器の主な仕様
周波数安定度(GPS捕獲時)
Frequency stability (locked to GPS)
周波数安定度(ルビジウム動作時)
Frequency stability (hold-over mode)
Frequency offset (24h mean): <1x10-12*
Short term (Allan dev.):  
 (τ=1000s) <1x10-12*
 (τ=100s) <3x10-12*
 (τ=10s) <1x10-11*
 (τ=1s) <3x10-11
Warm-up time to lock at 25℃: <20min
*: Temperature=23℃±3℃
 
Aging/24h: <2x10-12*
Aging per month: <5x10-11
Temp (0-50℃): <3x10-10
Temp (23±3℃): <2x10-11*
Short term (Allan dev.):  
 (τ=100s) <3x10-12
 (τ=10s) <1x10-11
 (τ=1s) <3x10-11
Warm-up (25℃)
10min to:
<4x10-10
*: Typical
Phase Noise
1Hz -80dBc/Hz
100Hz -130dBc/Hz
100kHz -145dBc/Hz
弊社周波数基準器のブロックダイヤグラム
30秒毎のタイムインターバルエラー(TIE)の推移例
相対周波数オフセット(24時間平均)の推移例
(安定している時間帯では0.4x10-12程の精度が得られている)
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