|
校正事業の基本ポリシー |
|
|
|
日本国内には、製品を開発製造するメーカの測定設備も含めると、数百にも上るEMC注)測定ラボが現存します。そこには数多くの特殊な測定機材が使用されています。測定とは量の値を決定する作業であり、その量は決められた標準に関連づけられ得る結果でなければなりません。いわゆる測定のトレーサビリティの確保であり、この橋渡しをするのが「校正」です。
昨今では、試験所運営の国際基準であるISO/IEC 17025の普及により、測定のトレーサビリティ確保が必須要件となりつつありますが、測定には古くより、トレーサビリティの確保、国家標準という概念が存在していました。ISO/IEC
17025は、それを共通のルールとする為の一つのツールです。
前述したように、EMC測定に使用する測定機材の中には、海外で開発製造された特殊なモノが多く、トレーサビリティ確保も容易ではありませんでした。加えて、日本国内での、ことEMC分野でのトレーサビリティの整備は、他分野と比べると遅れていたと言わざるを得ません。
世界市場に向けて数々の製品を供給するメーカは、取引先等より様々な要求がきます。EMC測定のトレーサビリティ確保もその一つです。でも、取引先は日本国内の整備が遅れているからと言って、要求を取り下げてくれることなどありません。この要求を満たす為、多くの測定ラボは、自身で使用している測定器を海外の校正ラボに送り、多大な費用と時間を費やして、この要求に対応してきたと思います。
日本は、かつてJapan as number oneと言われた時代もあった程の先進工業国の一つです。でも、毎年のように測定器を海外に送り、校正を行ってもらう現状を皆さんはどのように感じてきたでしょうか? 国内の標準体系の整備の遅れを嘆き、先進工業国で働く者として情けない想いを感じてきた方も多いのではないでしょうか。
もちろん、私共の会社は民間の営利団体ですので、自ら、国家標準をつくれる筈もありません。民間会社であるが故、できることは限られていますが、民間会社だからこそ出来ることもある筈です。前述した不本意な国内状況を打破する為、私共は自社の標準器群を海外の国家標準にトレースさせトレーサビリティを確保することとしました。また、校正を事業として行う以上、ご提供する校正結果に信憑性を持たせることは必要不可欠な要素です。この為、自ら行う行為により客観性を持たせる為、当時はまだ誰も行っていなかった米国標準技術局(NIST)の立会審査を受け、国内では初となる校正分野でのNVLAP認定を受けた上で、2000年より校正事業を開始して参りました。
最近、認定取得=技術の優秀さ、と思わせる如きのコマーシャルを時々見かけますが、認定取得と組織の技術力との間には直接的な因果関係はありませんし、認定は技術力の優秀さを示す指標でもありません。そもそも技術力は認定スキームとはまったく関係のない所に存在する筈です。認定は自らの行為に客観性を保たせる為の一つのツールに過ぎません。私共は認定というものをこのように捉えています。
繰り返しになりますが、弊社は株式会社ですので、もちろん、校正事業を営利活動の一つとして位置付けておりますが、「トレーサブルな認定校正を国内でご提供する」という、それまでには無かった形態を他社に先駆けて展開してきたことは、関係産業界の皆様への一助となっているものと確信しております。
また、昨今では、製品の開発サイクル、商品サイクルが益々短縮化されてきています。この状況下にあっては、測定の効率化ということも重要なテーマの一つかと思います。測定器の校正は間接的にではありますが、その一環を担っている訳ですので、この観点からも、よりタイムリーな校正サービスを適正コストでご提供させて頂くことが、私共に科せられた使命であると受け止めています。ご提供させて頂く校正品質の維持・向上に努めなければならないことは言うに及びません。
このような考えの基で校正サービスを展開させて頂いておりますが、結果的に関係産業界の発展、ひいては社会貢献に繋がって頂ければ至極幸いです。
どんな些細なことでも結構です。校正でお困りの時はお気軽にご相談ください。グローバルな観点から皆様をサポートでき、皆様に慕われる企業で有りたいと常に願っています。 |
|
|
|
|
注)EMC: Electro Magnetic Compatibility (電磁的両立性) |
|
|
|
|