校正雑学 - 同軸コネクタの種類と特徴
 高周波用コネクタは、使用する周波数帯域や用途によって様々なタイプのものがあります。ここでは一般に広く使われているコネクタをご紹介します。

 下記の説明文中の「周波数」は、そのコネクタが使用できるであろう一般的な周波数の上限の目安を示しています。実際にはコネクタタイプにより異なる場合がありますので、あくまで参考情報としてご理解下さい。なお、ここでご紹介しているコネクタの特性インピーダンスはすべて50Ω系のものです。

BNC male

BNC female
コネクタ名称: BNC
周波数: 2GHz位迄

※50Ω系と75Ω系の2種類があります。両者は外形では見分けが難しいので注意が必要です。

C male

C female
コネクタ名称: C
周波数: 11GHz位迄

※一般にはあまり使用されていない同軸コネクタです。定格は1500Vpeak(1060Vrms)ですので、一部の高電力同軸線路等に使用されています。

SC male

SC female
コネクタ名称: SC
周波数: 11GHz位迄

※一般にはあまり使用されていない同軸コネクタです。定格は1000Vpeakですので、一部の高電力同軸線路等に使用されています。

LC male

LC female
コネクタ名称: LC
周波数: 1GHz位迄

※耐圧5,000Vrmsの特殊なコネクタです。インピーダンスは50Ωです。

HN male

HN female
コネクタ名称: HN
周波数: 4GHz位迄

※耐圧5,000Vrmsの特殊なコネクタです。インピーダンスは50Ωです。

7/16 male

7/16 female
コネクタ名称: 7/16
周波数: 7GHz位迄

※定格2,700Vrms(耐圧4,000Vrms)の特殊なコネクタです。一部の高電力同軸線路等に使用されています。オスコネの直径≒31.8mm

N male

N female
コネクタ名称: N
周波数: 4GHz位迄

※一般に広く使用されているタイプで、メス側の中心導体のスロットが4つにカットされています。

Precision N male

Precision N female
コネクタ名称: Precision N
周波数: 18GHz位迄
脱着回数: 5000回位迄

※上記のタイプと互換性はありますが、メス側の中心導体のスロットを6つにカットしたタイプで、使用できる周波数の上限を大幅に向上させたタイプです。形状は汎用品と同じですが、周波数特性が大きく異なるので、混同した使用は避けるべきです。

N male for slotless

Precision slotless N female
コネクタ名称: Precision Slotless Connector Type-N
(PSC-N)

周波数: 18GHz迄

※Metrology-GradeのN型コネクタで、通常、ネットワークアナライザの精密級校正キットに使われています。メスの中心導体のパイプの中には、フィンガーと呼ばれる薄い金属羽根が挿入されており、破損し易い為、取り扱いには特に注意を要します。

7mm

7mm
コネクタ名称: 7mm (APC-7)
周波数: 18GHz位迄
脱着回数: 5000回位迄

※このコネクタに雄雌はありません。左のものは中心導体のCollectが4つのタイプです。特性を改善した6 つのCollectのものもあります。


SMA male

SMA female
コネクタ名称: SMA (正式名称はSub-Miniature A)
周波数: 12GHz位迄

※安価な為、多くの場面で使用されていますが、設計・製造がラフな為、反射係数は劣ります。(左の写真でもお判り頂けると思います。)このコネクタは3.5mmコネと接続可能ですが、外部&内部導体の寸法が異なるので、推奨できません。特に2.92mmコネとの接合は控えたほうが無難です。基本的には装置の内部に組み込んで使用するコネクタで、校正など精密測定には適しません。

SMC male

SMC female
コネクタ名称: SMC (正式名称はSub-Miniature C)
周波数: 4Gz位迄(10GHz位まで使用可)

3.5mm male

3.5mm slotted female
コネクタ名称: 3.5mm (APC-3.5)
周波数: 30GHz位迄
脱着回数: 3000回位迄

※外部導体3.5mmのマイクロ波用コネクタで、30GHz位までの周波数で最も使用されているコネクタです。

3.5mm male for slotless

3.5mm slotless female
コネクタ名称: Precision Slotless Connector 3.5mm
周波数: 26.5GHz迄

※Metrology-Gradeの3.5mmコネクタで、通常、ネットワークアナライザの精密級校正キットに使われています。メスの中心導体のパイプの中には、フィンガーと呼ばれる薄い金属羽根が挿入されており、破損し易い為、取り扱いには特に注意を要します。特に、SMAコネクタのオスとの結合は避けなければなりません。

2.92mm male

2.92mm female
コネクタ名称: 2.92mm (K)
周波数: 40GHz位迄
脱着回数: 400回位迄

※SMAや3.5mmコネと互換性があります。但し、メス側中心導体の金属壁厚が薄く、メカ的にダメージを受けやすいので、SMAとの接続はしないほうが無難です。また、脱着回数の保証が低いので、無用の脱着は避けたほうがベターです。

2.4mm male

2.4mm slotted female
コネクタ名称: 2.4mm (APC-2.4)
周波数: 50GHz位迄
脱着回数: 5000回位迄

※SMAや3.5mmとの互換性はありません。上位の1.85mmコネとの接続は可能です。高価です。

2.4mm male for slotless

2.4mm slotless female
コネクタ名称: Precision Slotless Connector 2.4mm
周波数: 50GHz位迄

※Metrology-Gradeの2.4mmコネクタで、通常、ネットワークアナライザの精密級校正キットに使われています。メスの中心導体のパイプの中にフィンガーと呼ばれる薄い金属羽根が挿入されており、破損し易い為、取り扱いには特に注意を要します。

1.85mm male

1.85mm female
コネクタ名称: 1.85mm (V)
周波数: 65GHz位迄
脱着回数: 4000回位迄

※2.4mmコネと接続可能な設計です。弊社ではまだこの帯域は扱っていないので写真はありません。
適性トルク

Nコネ用トルクレンチ

7mm用12ポンド・トルクレンチ

SMA用5ポンド・トルクレンチ

3.5mm&2.4mm用8ポンド・トルクレンチ
 特に、数GHz以上の周波数においては、コネクタの締め付けトルク如何で、伝送特性を大きく左右することがあります。また、適性トルク以上で締め付けると、コネクタの中心導体部分を破損させてしまうこともあります。特に、校正分野においては、測定の再現性や繰り返し性が重要な要素の一つです。下表に各コネクタコネクタの適性トルクを示します。コネクタの締め付けは必ずトルクレンチを用いて行うように日頃から心がけましょう。

コネクタ ポンド(in-lbs) N・cm
7mm/N 12 135
3.5mm 8 90
SMA 5 56
2.4mm 8 90
1.85mm 8 90
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