校正雑学 - トレーサビリティと不確かさ
 国際計量基本用語集(VIM-International vocabulary of basic and general terms in metrology - 1993)では、トレーサビリティを次のように定義している。

 「トレーサビリティ[VIM  6.10] - 不確かさが表記された、切れ目の無い比較の連鎖を通じて、通常は国家標準または国家標準である決められた標準に関連づけられ得る測定結果または標準の値の性質」

 ここで注意したいのは、用語の冒頭で「不確かさがすべて表記された・・・・」と定義されていることで、読み替えれば、不確かさが表記されていないものについてはトレーサビリティがあるとは言えない・・・とも読み取ることができる。

 一方、不確かさは次のように定義されている。

 「(測定の)不確かさ [VIM 3.09] - 測定の結果に付随した、合理的に測定量に結び付けられ得る値のばらつきを特徴づけるパラメータ」

 なお、VIM 第1版(1984)では、「不確かさ」は、「ある測定量の真の値が存在する範囲を示す推定量」と定義されていたが、第2版にて上述のように変更されている。

 我々が普段取り扱っている電気量は定量的なものであるので、最上位の国家標準あるいは国際標準にトレーサブルであるということを表明する以上は、必ず、不確かさの値が伴っている筈であり、そうでなければトレーサブルとは言えない、というのが現在の適切な解釈であろう。
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